疲労骨折について
#1.疲労骨折とは?
疲労骨折とは、簡単に言うと骨が疲れて折れちゃうことです(そのまますぎますね)。もう少し詳しく言うと、骨のある一定の部分に一発では骨折に至らない程度の弱い力が繰り返し働いた結果、その部分が疲労現象によって脆弱となり、最終的に骨組織の断裂や骨折を招くということです。例えて言えば、針金なんかを折るときに、一度折り曲げただけでは折れなかったものが何度も繰り返しているうちにやがて折れるようになるのと似ています。
また、疲労骨折には大まかな定義があります。"正常な骨組織をもった健常人において、通常の生活動作・スポーツ活動に起因する外傷の認められない骨障害"というのがそれです。つまり、骨粗鬆症や放射線などによって骨組織の抵抗性が低くなっている場合は該当しないといえます。また同じ繰り返しの衝撃でも、たとえば繰り返し崖から落ちすぎて骨が折れた、なんて場合は該当しないと思います(そんな人いないと思いますが)。
僕は個人的には疲労骨折を、"明確な心当たりの無い骨折"といった感じに捉えています。みなさんはここまでで、疲労骨折についてどのような印象をお持ちになったでしょうか。
#2.疲労骨折の原因は?
主な原因はやはりスポーツ活動です。特に、全てのスポーツの基本ともいえるランニングが主な原因となっています。他にも、サッカーや野球、バレーやゴルフなど様々な競技で疲労骨折の症例は報告されています。
疲労骨折は特に青少年層で多いのですが、それは主にこの時期は筋力と骨強度のバランスが取れていない人が多いからだと考えられています。筋力が不足していると筋肉疲労がおきやすいため、骨に余分な負担が繰り返しかかることになり、やがて疲労骨折に結びつきます。逆に骨強度に比べて筋力が発達しすぎていると、筋肉の収縮活動の繰り返しによって骨が疲労し、やがて同様の結果を招くのです。
もちろん、筋力や骨強度に問題が無くても疲労骨折は起こりえます。スポーツ活動を行う上で、質の誤りと量の誤りはともに疲労骨折を招く大きな要因です。前者はうさぎ跳びなどに代表される非合理的で負担の大きいトレーニングを行うことが主な要因です。後者は単体ではさほど負担の大きくないトレーニングであっても、個人に適した量をはるかに超えた過度のトレーニングを行うことが主な要因になります。要は、"巨人の星"みたいなことやってたら疲労骨折の危険が高まるということです。
#3.治療方法
まずは、原因動作の停止と局所安静が第一です。これはその原因からも明らかなことです。ただし、通常の骨折のように特に外固定を行ったり日常生活を制限したりする必要はほとんどの場合ありません。とにかく、障害部位をこれ以上疲労させないようにさえ留意していれば、最短一〜二ヶ月程度で再びスポーツ活動を行うことができるようになります(もちろん、程度によりますが)。
また、下肢部の疲労骨折の場合、弾力包帯やテーピングによる固定、松葉杖などの補助具の使用は早期回復に有効です。
いろいろと書きましたが、治療は医師の協力のもとで行うのが最善です。決して無理をせず、回復を待ちましょう。痛みが消え、X線診断で治癒を確認したうえで筋力が回復していれば完治といえます。それまでは気長に待つのが一番よい治療だと思います。
#4.予防と対策
疲労骨折は事前の予防が可能な障害です。そのためには、自分に適したスポーツの強度や頻度を知り、決して無理をせずに行うことが最善です。そうすることによって疲労骨折の予防だけでなく、競技力や運動能力の向上も期待できます。特に、身体の一部だけに集中的に負担を与えるようなトレーニングは極力避けるべきです。また、急に激しい運動をするのではなく、徐々に運動の強度や時間を増していくのが理想といえます(疲労骨折からの回復直後は特に注意を要します)。
運動前後や日頃からのストレッチなどで柔軟性を養っておくことや、日常生活の中で身体をよく動かしておくこと(スポーツという意味ではなく、たとえばエスカレーターの代わりに階段を登るなど、健康に配慮する程度のものでよい)も有効な予防策の一つです。とにかく、急な運動と無理な運動を避けることが予防への近道だといえます。
#5.後記
この文は、あくまでも素人の視点から書いたものです。文献を参考にわかりやすく間違いの無いように書いたつもりですが、ご不満な点は数多くあると思います。ご了承ください。疲労骨折についてもっと詳しく知りたいという方は、下に挙げた本やサイトなどをご覧になってください。この文で少しでも皆さんのお役に立てたならば光栄です。乱文をお詫び申し上げ、締めくくらせていただきます。
2005年6月7日 webサイト"疲労骨折"管理人 土門
参考文献:「スポーツと疲労骨折」 ←疲労骨折について超詳細な解説が載ってます。
web:メルクマニュアル医学百科家庭版/足の疲労骨折